HIV感染症の臨床病期(進行度合)
HIV感染症は治療をせず放置していると、長い無症状の期間を経て突如『免疫力の低下』という恐ろしい状況が襲い掛かってきます。知らないでは済まされないのがHIV感染症です。
HIVウイルスに感染すると一体どのような経過をたどることになるのでしょうか?
HIV感染症の臨床病期(進行度合)
HIVウイルスに感染してからの経過は、急性期、無症候期、エイズ発症期という3つの病期に分かれます。
急性期は体内に侵入したHIVウイルスが急激に増殖していく病期となります。
この時期の特徴としては、発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、リンパ節肥大、皮膚湿疹などといった症状が現れることです。しかし、この症状も全ての人に現れるわけではありませんし、出たとしても症状は人それぞれです。
また、仮に症状が現れたとしても軽い症状やインフルエンザに似た症状であったり、数日~数週間程度で自然に症状が治まってしまいますので、なかなか感染に気が付きません。
少しでもHIV感染の疑いがあるようであれば必ずこの時期に検査を行うようにしてください。
無症候期
急性期が過ぎると、次は全く病状が現れない無症候期へと移行します。
無症候期の期間は数年~十数年ほどですが、この期間も人それぞれです。
無症候期ではその名の通り病状は何も現れませんが、体内では確実にHIVウイルスが増殖しており正常な免疫細胞を破壊し続けています。
免疫細胞が破壊されることにり、免疫力が徐々に落ちていき、そしてある時期(とき)、エイズの病状が発症することになります。
エイズ発症期
免疫細胞の数が極端に減ってくると、正常であれば免疫力で抑えられるはずの様々な病気に対抗できなくなってきます。
このように免疫力が下がって発症する感染症を日和見(ひよりみ)感染症といい、このうちの代表的なものがAIDS指標疾患として定められています。
日本では以下に挙げる23種のAIDS指標疾患が定義されています。
[ 真菌症 ]
カンジダ症・クリプトコッカス症・コクシジオイデス症・
ヒストプラズマ症・ニューモシスティス肺炎[ 原虫症 ]
トキソプラズマ脳症・クリプトスポリジウム症・イソスポラ症[ 細菌感染症 ]
化膿性細菌感染症・サルモネラ菌血症・活動性結核・非結核抗酸菌症[ ウイルス感染症 ]
サイトメガロウイルス感染症・単純ヘルペス感染症・
進行性多巣性白質脳症[ 腫瘍 ]
カポジ肉腫・原発性脳リンパ腫・非ホジキンリンパ腫・
浸潤性子宮頚部癌[ その他 ]
反復性肺炎・リンパ節間質性肺炎・HIV脳症・HIV消耗症候群
そして、このAIDS指標疾患に定められた日和見疾患を発症した時点でエイズ(AIDS)と診断されるのです。
エイズと診断されてしまうこの病期に移行しまうと、現代の医学ではどうすることも出来ません。
早期の検査がカギ
何も治療をせずに放っておけば、たった数年という年月でエイズ発症期を迎えてしまいますが、医学は日々進歩しています。
無症候期に薬を服用することで、HIVウイルスの増殖を抑え無症候期を格段に延ばすことが可能になっています。
HIV感染症の治療で最も重要なカギは『早期検査・早期治療』です。
とにかく早い病期で検査を受け、治療を開始することが重要なのです。
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