免疫細胞数と血中HIVウイルス数
HIVウイルスに感染した際、経過を見ていく上で必要となる数値があります。
免疫細胞数(CD4陽性Tリンパ球数)と血中HIVウイルス数(HIV-RNA数)です。
HIV感染症は免疫細胞数(CD4陽性Tリンパ球数)の減少により様々な病気を引き起こすものですので、免疫細胞数と血中HIVウイルス数を知ることは非常に重要になってきます。
免疫細胞の数(CD4陽性Tリンパ球数)
体内の免疫を司る細胞はCD4陽性Tリンパ球(またはCD4陽性T細胞)です。(詳しくはCD4陽性T細胞とはで説明しています。)
HIVウイルスに感染するとこのCD4陽性Tリンパ球数が破壊されどんどん少なくなっていきますので、感染後の経緯を知るための最も大事な指標となるのがこのCD4陽性Tリンパ球数です。
CD4陽性Tリンパ球数は個人差がありますが、通常健康な人であれば700/μL~1500/μL程度になります。
しかし、HIVウイルスに感染していない人でもCD4陽性Tリンパ球数が700/μL以下であることもありますし、その逆、感染していても700/μL以上であることもあります。
CD4陽性Tリンパ球数は日々の生活の中でも、体調(風邪)やストレス、運動などの影響で増減がありますので、1回の検査だけでは正確な数値を判断することはできません。
また、このような特性(個人差と日々の変動)があるため、CD4陽性Tリンパ球数から逆算してHIVウイルスに感染した日を特定することは残念ながらできません。
CD4陽性Tリンパ球数の減少と日和見感染症の関係
CD4陽性Tリンパ球数が減少してくると比例して免疫力が低下してきますので、日和見感染症を発症しやすくなります。
CD4陽性Tリンパ球数が200/μL以下にまで下がってくると日和見感染症の1つであるニューモスチス肺炎を発症する確率が出てくるため、この段階までくるとニューモスチス肺炎の予防を開始します。
そしてCD4陽性Tリンパ球数が100/μL以下、50/μL以下と下がるにつれ、クリプトコッカス髄膜炎やサイトメガロウイルス網膜炎など複数の日和見感染症を発症するようになり、エイズと診断されます。
血中HIVウイルス数(HIV-RNA数)
血液中にどれだけHIVウイルスが存在するのかを表す数値としてHIV-RNA数があります。
HIV感染直後には物凄い勢いで血液中のHIVウイルス数(HIV-RNA数)が増加しますが、この段階では体内の免疫細胞(CD4陽性Tリンパ球)の働きにより増殖を抑えることに成功します。
※ この一時的にHIV-RNA数が上がった段階でHIV感染の初期症状が見られることがあります。
HIV-RNA数が下がったとはいえ、一度HIVウイルスに感染すると血液中のHIVウイルス数がゼロになることは決してありません。無症候期に移行したにすぎません。
その後、数年から十数年の間無症候期が続きHIV-RNA数は低い数値を維持しますが、ある時、免疫細胞(CD4陽性Tリンパ球)が減少し始めると急激にHIV-RNA数が増えてきます。
免疫細胞(CD4陽性Tリンパ球)が少なくなっているため血液中のHIVウイルス数の増加を抑止することができず、HIV-RNA数は際限なく増加し続けていくことになります。
当然ですが、HIVウイルス感染後のHIV-RNA数の数値が高いほど、免疫細胞を破壊するスピードが早くなるため、進行が早くなります。
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