HIV(エイズ)治療と入院
HIV(エイズ)の感染から日和見感染症を発症してしまうと入院を余儀なくされることもあります。
免疫細胞(CD4)数がかなり減少してきている場合は、日和見感染症も一つではなく複数発症する危険性がありますので十分注意しなければなりません。
抗HIV薬の進歩により入院する患者数は以前よりも減ってきたものの、日和見感染症の発症ではなく長期的な治療で起こる他の合併症や、長期副作用が原因の入院が増えてきています。
また、抗HIV療法を開始するとHIVウイルスの活性を抑えることが出来るので免疫細胞(CD4)数が徐々に増えてきますが、このとき一時的に合併症がひどくなることがあります。
これを”免疫再構築症候群”といい、免疫再構築症候群は治療開始から1ヶ月~3ヶ月の頃が特に多くなるのでこのことも頭に入れておきましょう。
長期間の入院が必要になるケース
しかし、いくら抗HIV療法が進歩してきたと言っても治療が遅れれば死亡することもありますし、回復しても重度の後遺症が残ることだってあります。
こうなってくると長期間の入院が必要になり、身体のことだけでなく、仕事面や経済面といった問題も出てきます。
日和見感染症による入院であれば、15%程度の患者はたとえ回復したとしても後遺症が残ってしまい、その後の生活が大きく変わることになりかねません。
適切な治療はもちろん、精神面や経済面もしっかりと相談できる病院や医師との連絡体制を整えておかなければならないのです。
入院しないための予防
日和見感染症の発症さえ予防できれば入院を避けることができますので、治療の過程でCD4数を見ながら、適切に日和見感染症の予防を行っていきます。
治療指針として定められている予防は以下です。
CD4数 | 予防する日和見感染症 |
---|---|
CD4数 < 200/μL | CD4数が200/μLより少なくなれば、ニューモシスチス肺炎の予防を開始します。 |
CD4数 < 100/μL | CD4数が100/μLより少なくなれば、トキソプラズマ脳症の予防を開始します。 |
CD4数 < 50/μL | CD4数が50/μL以下になれば、非結核性抗酸菌症の予防を開始します。 |
またCD4数が50/μL以下になってくると非結核性抗酸菌症の発症だけではなく、複数の日和見感染症を発症する可能性が高くなってくるため、症状が出ていない他の疾患(サイトメガロウイルス網膜炎や子宮頸癌など)の検診等も必要になってきます。
医療費の助成と退院後の注意点
HIV(エイズ)感染の治療には身体障害者手帳を利用した助成や、入院費の負担を軽減するための助成などの助成制度を受けることができます。
また入院した場合の退院後は、抗HIV薬の服用を継続させるための意識付けや緊急時の連絡先・連絡方法(アドヒアランス)をしっかりと確認し、セーファーセックスについても認識しておく必要があります。
【セーファーセックス : Safer Sex または、セーフセックス : Sefe Sex とは】
HIV(エイズ)の感染を広げないためのセックス。
また膣内性行為だけでなく、フェラチオやクンニリングスなどの口による性交(オーラルセックス)やディープキス、アナルセックスなどでも感染するということを意識し、不要な行為はなるべく避ける。
コンドームの利用は当たり前です。それ以外に不特定多数との性交渉はしないなど、HIV(エイズ)感染を広げないように気を付けましょう。
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